現代版シンデレラストーリー!地方の主婦が立ち上げわずか3年で事業売却
地方在住の現役主婦が代表を務めるジタン・マーケティング株式会社は2021年10月、家事支援サービス業者比較サイト「共働きのためのハウスクリーニング情報サイト」(https://rakurakujitan.com/)を、総合情報サービスを提供する株式会社マイナビに事業譲渡しました。
サイト売買Zはジタン・マーケティング社代表の石田様から売却相談を受け、売却先の選定・打診、交渉、契約締結までをサポートさせて頂きました。
今回は、交渉の背景や今後の展望について、石田様(写真中央)とマイナビ社のコンテンツメディア事業本部の崔様(3枚目写真右)、後藤様(写真左)、グループ経営統括本部 国内事業開発部(M&A主幹部署)の森様(写真右)にお話を伺いました。
サイト運営を始めたのは本当に偶然
――「共働き主婦のための ハウスクリーニング情報サイト」の概要を紹介してください。
石田:ハウスクリーニングや家事代行を活用したいと考える人のために、働く主婦である自分たちが実際に業者を利用してみた本音の感想や、試してみた使い勝手を書いている情報サイトです。2018年4月から運営スタートし、今年で3年目を迎えます。
サイトの規模はそれほど大きくなく、せいぜい150記事ほど。取材や記事作成に協力してくれる外注先が2〜3名おりますが、運営はほぼ私1人で行ってきました。
――サイトが大きく成長した理由を教えてください。
石田:サイトを開設した当時、このジャンルを本気で取り組んでいるアフィリエイターが少なかったからでは、と考えています。
獲得単価が1,000円程度からのスタートなので、報酬がそれほど高くなく、大きく成功した事例もなかったことから、ASPも積極的に勧めているジャンルではなかったと記憶しています。
私も、最初からこのジャンルを狙っていたわけではなく、サイト運営を始めたのは本当に偶然です。
自宅でハウスクリーニング業者を利用した際、家がとてもキレイになって感動したことを日記ブログに書いたところ、複数の友人から反響をもらったので、この話題には世間のニーズがあるのでは、と思いました。
それから面白くなり、いろいろなサービス・業者を自分で利用したり、友達に使ってもらったりしては記事を書き続けているうちに、気が付けば大きな情報メディアになり、売上もついてきました。
――今回、サイトの売却をお考えになった背景を教えてください。
石田:当初思ってた以上に、サイトの規模が大きくなり、売上も大きくなり、ここから何をしたらいいのか分からなくなってしまったからです。
私は他にアフィリエイトサイトを運用した経験がなく、組織化や横展開などを周りの方たちから勧められましたが、やり方が分かりませんでした。
どこかのタイミングでサイトを手放す事も考えてはいましたが、なんとなく、手放してしまう事は無責任なのでは?という後ろめたい気持ちがあり悩んでいたところ、Twitterでmotoさんのサイトの事業譲渡の話を読んで、衝撃を受けました。
自分にはないリソースやノウハウを持った、大きな会社の力を借りて運営をすることで、サイト運営事業を成長させる、という方法があるんだと。自分もそうしてみたいと思い、サイト売買Zさんに声をかけました。
――買い手候補に関して、石田さんはどのような希望をお持ちでしたか?
石田:最初は、なるべく高い金額を提示してもらえる事を最優先に考えていましたが、交渉を進めていくうちに考えが変わり、「事業をなるべく大きくしてくれそうな会社」にお願いしたいと思うようになりました。
そのほうが、自分にとっても、この仕事に関わってくれた人たちにとっても、仕事の実績になりますので、次のステップに進むための助けになるのではと思ったからです。
初面談でお互いに好印象をもち、スムーズに契約合意へ
――サイトを弊社からマイナビさんに打診したときの第一印象は?
崔・後藤:(打診を受けたコンテンツメディア事業本部は)M&Aを実行する部署ではないため、アフィリエイト事業を手掛ける事業部として、事業戦略観点で向き合わせて頂きました。
我々のアフィリエイト事業のジャンル拡大において、率直に非常に面白い案件だなと思いました。まずはお話をきいてみたいと思い、早速M&Aの管掌部署に提案しました。
森:コンテンツメディア事業本部より相談を受けたのが最初でした。彼らコンテンツメディア事業本部の中長期戦略として、アフィリエイト事業のジャンル拡大に事業譲受を活用してスピードをあげたいという意向は以前から伺っていたため、マイナビグループ全体のM&A戦略とは異なる事業領域でしたが、簡易的な価値評価を踏まえて、既存事業成長の観点から初期検討をすすめていくことに決めました。
――初めてオンライン面談をしたときのお互いの印象は?
崔・後藤:まずは既存事業サイドからの視点でシナジーがあるのかどうか、アップセルできるのかどうかを判断するために、面談をさせて頂きました。
サイトの売買検討に関わるのは初めてでしたので、「実態と違うことをいわれるのではないか?」など少し構えて入ったのですが、石田様が率直に実態を伝えて頂いたことに非常に好感を持ちました。
サイトの運営はうまくいかないことも多いので、仮に譲受できた後も正しい運営をするために、サイトのポテンシャルはもちろんですが、サイトのありのままの現状を求めていました。
石田様と面談をする中で、サイトの状況を理解することができ、その後うまく運営をすることができるようなイメージがわきました。もちろん面談後の資料開示やQA、サイトパワーを確認し、齟齬がないことは確認させて頂きました。
石田:非常に好印象でした。運営サイトの内容やサイトを育ててきた私のスキルを、とても高く評価してくださっている事を伝えていただき、嬉しく思いました。
アフィリエイトサイトの運営って孤独なので、改めて評価される事って意外と少ないんですよね。仕事ぶりを褒めて頂けて感激でした。
――複数の買い手候補と交渉していたなかでマイナビさんを選ばれた理由は?
石田:主に2つあり、ひとつは複数の大規模サイトで成功実績をお持ちであること。もうひとつは、運営にかけられるリソースが豊富であることです。
どちらも、ずっと一人で運営してきた私が決定的に足りなかったものであり、これを手にいれることでサイトを成長させられるのでは、と希望を感じました。
――検討過程で思われたこと、感じられたことを教えてください。
崔・後藤:譲受先の事業部としては、大きく2つございます。
1つ目はサービス拡大の可能性を秘めている点です。現状はSEO集客によるアフィリエイト収益がメインですが、さまざまな独自サービスにより、収益ポイントを多角化できると思いました。
2つ目は収益面です。我々の部署はマイナビニュースサイトのドメイン配下でアフィリエイト広告収益をあげることがメイン業務となり、数多くのマーケットを扱っております。
集客は主にSEOでしたので、1つのドメインの限界を感じておりました。その中で、すでに成功されているまったく別のドメインを使い収益を上げることができる今回のご提案はとても魅力的でした。
森:グループ経営としては、先に申し上げたように、コンテンツメディア事業本部の中長期戦略の一部として方向性が合致していた点、事業部が持っている運営ノウハウやリソースを活用しシナジーを創出できることが確認できた点が一番大きな要因です。
次に、当社の投資回収観点を考えた条件目線に大きなブレがなかったこと、Googleアルゴリズムの影響等を条件に盛り込んで頂けたこと、最後に、外部専門家や当社管理部門も含めた各種DDをおこない、譲受の妥当性・事業譲受に係る必要項目の洗い出し、顕在・潜在リスクの有無の確認ができ、契約書への落とし込みもスムーズに合意頂けたことから、譲渡実行に向けてM&A実務を進めることができました。
今後はマイナビブランドや営業力をいかしたサービスへ
――譲渡完了して1ヶ月が過ぎますが、ここまでの感想と今後のビジョンについて教えてください。
崔・後藤:まずは来年の繁忙期に向けて石田様の力もお借りしながら、しっかり準備をしていきたいと考えております。弊社のリソースやアセットをフル活用し、これまで以上に収益面でも社会的意義の面でも大きなサイトにしていきたいと思っております。また、弊社のブランドや営業力を生かしたサービスをつくっていきたいと考えております。
石田:いっしょにお仕事をさせて頂いて、とにかく楽しいです。自分ではどう改善したら良いのか分からず、ひとりで悩み続けてきたので…定期的に打ち合わせしながら、次のアクションを相談できる環境にホッとしていますし、とても勉強になります。
今後はマイナビさんの豊富なリソース・ノウハウを注入してもらいながら、サイトを一歩一歩成長させていければと考えています。そして私自身も、引き続き関わらせて頂くなかで、一緒に成長していければいいなと思っています。
――マイナビさんの今後のM&Aに対するビジョンについて教えてください。
森:全体のM&A戦略とは方向性は異なりますが、既存事業強化の観点で、アフィリエイトサイトの譲受は、コンテンツメディア事業本部の事業戦略におけるメディア拡張の効率化において非常にわかりやすく、ノウハウやリソースの活用がしやすくPMIをすすめやすい点などから、もちろん条件等是々非々で判断とはなりますが、良案件があれば、今後も事業部と連携しながら積極的に検討していきます。
なお、今回は事業譲渡のストラクチャをとりましたが、株式取得でのストラクチャ等も検討できますので、売却を検討されている方はまずはお気軽にお問合せ頂ければと思います。
――複数の仲介業者に相談されていた中で最終的に弊社を利用して頂いた感想を教えてください。
石田:仲介ではなく、アドバイザーとして動くことをご提案いただけたのが良かったです。売主側の立場で相談に乗って頂けたので、安心して自分の本音を話し、交渉を進めることができました。
サイトM&Aの実績や知識を非常に豊富にお持ちなので、判断に迷った時、よくあるケースはこうだとか、こうすると上手くいく等、実際の経験からアドバイスを頂けたのが助かりました。
サイトM&Aは厳格な秘密保持契約のもとに進めていきますので、誰かに気軽に相談できるわけでもなく、孤独な中で重要な意思決定をする、けっこうタフな仕事になります。
中には、少し強引に決意を迫る仲介会社もあったので精神的に疲れてしまっていたのですが、サイト売買Zさんは常に冷静に淡々と接して下さったのが有難かったです。
あと私が数字に弱すぎて、すぐ資料の数字を間違うのを、サッとフォローして頂けたのも助かりました!
――サイト売却を検討している方、ひいてはサイト運営している方へ何かアドバイスがあればお願いします。
石田:将来的にサイト売却を考えるなら、上手くいっている時から、かなり早めに動くことが大切だと思いました。
稼げなくなったら考えよう、みたいに思ってると、サイト売却には思いがけず時間がかかったりしますので、精神的に余裕を持てなくなり、良い取引ができなくなると思います。
また、私のような個人でサイト運営するなら、最終的にどういう出口を希望するのか、最初からふんわりと考えておくことも、大切だと感じています。
アフィリエイトは、ビジネスモデル的に10年、20年と安定して稼げる事業ではありません。いつか近い将来、終わりが見えてくると思いますが、その時自分はどうするのか?サイトはどうするのか?
難しいですが、今からでもざっくりでもイメージしておいて、情報収集のアンテナを張っておくと、いざという時に素早く行動できるのではないでしょうか。
――インタビューに協力いただき、ありがとうございました!両社の今後のさらなるご活躍をお祈り申し上げます。
※ インタビュー実施日:2021年12月7日
編集後記:
石田様が衝撃を受けたというmotoさんの運営する「転職アンテナ」の事業譲渡につきましても、インタビュー記事(【M&A業者視点】motoさんが「転職アンテナ」売却で成功した3つのポイント)がありますので、あわせてご覧ください。